満足度★★★★
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1960年12月5日未明に自殺した学生歌人、岸上 大作の名を知る者は少なかろう。自分も名を知っていたのみである。まあ、結果から言えばそれで充分な歌人と言わざるを得ない。1冊しか出版していないからではない。そんなことならば、Baudelaireは生前“Les Fleurs du Mal”1冊しか出版していない。侃々諤々はあったものの、19世紀彼の評価を普遍的なもの成らしめたのは、この詩集1冊だけの功績である。而も、彼は、世界の大詩人である。この詩集が出ていなければ、その後の世界詩壇は大いに違ったものになっていたであろう。だが、岸上は、無論、大詩人でもなければ、詩人ですらない、と自分は思う。
では、何故、彼は、もてはやされたのだろう。少なくとも、一時期。(追記後送)