満足度★★★
待つ女達
少しだけ特殊ではあるものの日常的な生活を描いたシンプルな会話劇で、コミカルなやりとりの中に考えさせられる内容が織り込まれた作品でした。
罪を犯して懲役を受けている夫や恋人が出所するのを待っている女達が一軒家で共同生活を行う様子を描いた物語で、罪を犯した者の身近に居る人の難しい立場や待つ心情という、シリアスに描くことも出来るテーマを軽妙な会話劇に仕立てていて、楽しめました。
ラストで殊更に盛り上げたりせず、さらっと終わるのも良かったです。
特徴的な手法や仕掛けを用いずに演技で見せるタイプの作品で、個人的な耆好と異なっていて少々物足りなさを感じました。
手前中央だけ1段下がった、掘り込み座敷の断面のようなセットは、出演者が座っているシーン(大半がそうでした)でも見易いという効果はありましたが、それ以外にそのような形状にした意図が感じられず、もったいなく思いました。
どの役者もアクのあるキャラクターながら現実に居そうな雰囲気を感じさせる演技で良かったです。特に冴えない管理人を演じた有川マコトさんの声や表情の引き出しの多さが魅力的でした。