終の楽園 公演情報 文学座「終の楽園」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    濃密
    全ての人に濃密なドラマがある群像劇でした。

    ネタバレBOX

    気難しい90過ぎの大地主である父親と、父親の死を待つ商才の無い子どもたち、そして彼らを取り巻く人々の話。

    ラストを見れば老いた人が尊厳ある死を選択する終活の話として帰結しましたが、全体としては全ての登場人物に濃密なドラマを設定した群像劇でした。

    父親が急にまだらボケになったのには唐突感がありました。正常な意識の時に実行しなければならないとはいえ、いくら南方で辛い経験をしてきた元軍人だからといって、そして他に手段が無かったからといって、包丁で首を切りつける方法で自殺するものかなと思いました。

    イケメンは罪作りです。三男と付き合い妊娠した看護師に嫉妬して、三男に好意を寄せていた高級マンションの男性職員は看護師を階段から突き落としました。でも赤ちゃんは無事でした。

    老人には自殺させ、赤ちゃんには命を与えました。長田さんは、ここ最近実在の人物ばかり扱ってきたため歴史上の制約を受けてきましたが、今回初めて人を殺したり生かしたり、人の命を自由に弄んだなと思いました。やりたい放題は大好きです。

    様々な相続を巡る悲喜劇がありました。地主の北澤家も相続破産すると言っていました。資産が不動産に偏重し過ぎて流動性が乏しいとそうなるのかなと思いました。

    同じ高級老人ホームの階下に父が住む息子の話では、105歳のおばあさんよりも先に父が死ぬと、家が叔母のものになってしまうとのことでした。この息子は死にそうな父を生かそうと延命措置を取りましたが、おばあさんの死後今度は植物状態で生き続ける父が重荷になり苦しんでいます。

    そのようなことも起こるのだろうと長寿社会の皮肉な現実に素直に驚嘆しましたが、良く考えてみると、子どものいない未亡人であれば義理の親の死後起こり得ることも考えられますが、このケースでは父が死んでも息子は代襲相続ができるので特にそのようなことにはならないのではないかと思い直しました。

    客層には高齢者が多く、これらの演劇ファンが他の小劇場にも足を運んでくれたらなと思いました。

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    2014/08/01 12:33

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