満足度★★★★★
三種の神器と金庫の謎
三種の神器を今更説明するのもなんだが、念の為。天孫降臨の際、瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという三つの宝物のことだ。草薙ぎの剣と一般に言われる天叢雲剣は、熱田神宮に祀られ、玉は、皇居に在る八尺瓊勾玉という勾玉、鏡は伊勢神宮に祀られる八咫鏡で、これらが日本の三種の神器である。このうちの草薙ぎの剣は、素戔男尊がヤマタノオロチを退治した時に、その尾から出て来たとされる。今作に登場するのは、この草薙ぎの剣だ。
所は、とある不動産屋、このビルは大正期に作られたもので、オーナー、石井 由多加は現在、最上階に住みながら、ギャルを使ったデートカフェ、“JKおさんぽ”を経営、本人はオネエであるが、1階に彼の経営する古道具屋がある。先代の祖父が88歳で亡くなった時、石井は、カフェには置いておけないと競馬好きな社長、松木に奇妙な物を預けた。菊の紋章の入った金庫である。
ところで、この会社には、かつて、役者をやっていた森 修二が居て、彼が主役をやったRock Musical”スサノオ”の舞台は一部に熱狂的なファンを生み出していた。他に同期で数学に滅法強い佐々木、入社半年にもなって客との契約書類一つ作れないボンクラの藤田。売上NO.1のさくや、さくやの営業成績のお陰で置いて貰っていると考えられていて、年がら年中、食べているせいで結果は、体重に現れている姉のまいわ。その他、佐々木の後輩に当たる伊保方は、矢張り理数系だが、鼻の右手に大きな疣があり、頭は良いのだが、目立たぬ存在。この金庫と三種の神器の謎に数学はどう関わるか? この謎解きが、実に面白い。様々な仕掛けのバランスやセンスも抜群といって良い。
(更なるネタバレは、公演終了後)