ヌーの食卓 公演情報 演劇集団〆切非常事態「ヌーの食卓」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    男30歳、夢と生活の間で
     大仏の覆面などの使い方を見ていると、必然性を、敢えてズッコケさせて脱力させ、芝居の持つ空想性への浮力をネグレクトすることで、現実空間に持ってゆくような作り方をしている、という印象を持った。

    ネタバレBOX

      その分、浮力よりは引力が働き、男の30歳という節目を迎えて、尚一人立ちできていない不如意が伝わってくるし、よしこが包丁を持って入って来る時に、大の男3人が、だらしなく逃げ惑う姿勢にも説明がつく。だが、この辺りは、矢張りリアリティーを欠くという印象はぬぐえない。部屋の中には、いくらでも盾になるものはあるのだし、女の子の持っている包丁を叩き落とすくらい容易いのだから。
     まあ、タイトルにヌーが入っているのは、マサイ族の神話にあるように、神様が最後に作った動物で、どんな動物にするかのイメージストックが切れ、牛の角、山羊の髭、馬のたてがみと尻尾を合わせて作ったとされる。どこかキメラを思わせる不思議な動物とも、捉えどころのない鵺のようなイメージとも通じる部分を意識しているのかも知れない。
     今作が初見なので、この劇団の傾向なのかどうか迄は、判断がつかないが、今回は3度目の上演ということだ。劇団のヒット作、自信作であることは間違いなかろう。このようなテイストで更に、演劇的な上を目指すのであれば、つい先日、東京乾電池の新人公演で選ばれた、竹内 銃一郎の「食卓㊙法・溶ける魚」のような作品かも知れない。
     以上の感想は”間のび”を主題とする場合ではあるが。最初から、これを明確に狙っていたのだとすれば、星は4つにしてもよい。本当の所、脱力系、シリアス、或いは、第三の道何れを選ぶのだろう。また、東京で公演するとのこと、確かめてみたい。

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    2014/06/30 08:02

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