十九歳のジェイコブ 公演情報 新国立劇場「十九歳のジェイコブ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    聖俗が重なり合う物語
    新国立劇場の公演にしては物語的にも表現的にも尖った作品でしたが、その尖り具合いが中途半端で、全体としてぼやけた印象を持ちました。

    ドラッグとセックスに溺れる青年ジェイコブとその周囲の人達の殺那的な生き方を通じて、呪われた血の繋がりや、若者の燥焦感が描かれていました。
    原作を読んでいないので、戯曲化にあたって松井周さんがどこまで新たな要素を加えたのかは分かりませんが、ギリシャ神話や聖書の世界と性的・社会構造的に普通ではない人々の世界が重ね合わさる趣向が松井さんらしかったです。
    暗転の後に突如現れる、ヤコブ(=ジェイコブ)の梯子を思わせる冒頭の光景が印象的で、普通ならラストに持って来そうな場面を最初に出しつつも、その場面を最後に繰り返す様な常套手段を用いなかったのが良かったです。しかし、その後の展開で冒頭シーン程に引き込まれる瞬間が無くて、物足りなく感じました。

    維新派の特徴である変拍子のリズムに乗せた台詞や幾何学的な動きは用いられてなくて、比較的普通のスタイルで演じられていましたが、モノトーンが中心的な色彩構成や、時間や空間を飛び越えて人物を舞台上に配置する手法が松本雄吉さんらしく、独特の緊張感を生み出していました。

    真っ黒な空間に十数台の傾いたベンチ状の木製のオブジェを様々な並びで配置して異なる場所を示していたのが演劇ならではの表現で良かったのですが、所々で奥の壁面に実写やCGのリアリスティックな映像が映し出されるのが逆に安っぽく感じられて、残念でした。
    本水の使い方も冒頭は良かったものの、終盤のシーンでは床を濡らさない為にそれまでベンチだけで表現していた舞台に異物的に感じられる小さなステージをわざわざ出した割りにはあまり効果があるとも思えず、興醒めでした。

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    2014/06/26 22:00

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