満足度★★★
冒頭
オープニング場面に工夫が無い。この時点で、喜劇でもなく、シリアスでも、所謂不条理劇でもなければ、異化効果を狙った作品でもないことがばればれだ。優れた舞台作品というものは、最初の数分で観客を引き込む力を持っている。それは、無論、緻密な計算が働いているからである。同じ原作でも演出によって、キャストによって、また様々な出し方によって、まるで違う作品になるのは、例えば、「楽屋」のようなシナリオから作られる作品を観ても明らかだ。スタニスラフスキーを持ち出したりしても、彼がチェーホフ作品と格闘して何を掴んだのかが、この演出家には分かっていないらしい。原作に忠実にということを考えたのだとしても、著作権の縛りがあるのだとしても、自分達が実際、何を中心に描きたいのかを見据えてから、仕事に掛かって欲しい。