愉快な誘拐犯 公演情報 かーんず企画「愉快な誘拐犯」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    視座を深めると良くなろう
     Team Saltを拝見。シチュエイションが突飛な分、やや、強引な筋運びが見られたが固いことを言わなければ楽しめる。

    ネタバレBOX

    然し、本当に芝居好きに評価されたいと考えるなら、細部のリアリティーに拘って、より緻密に作るべきだろう。例えば、誘拐犯が、最初から素顔を晒している点などは、問題だ。誘拐犯は殺人を前提としている訳ではない。まして、気の良い犯人たちであれば尚更、最初の内は、マスクをするなり、目出し帽を被るなりの細工が必要だろう。顔を見られるのは、殺しを意味するのが常識だからだ。マスクを取るのは、犯人達が、ハルキに同情してからでも遅くないし、そういう所作が、進行場面の転換にも有効だからである。一応、健一が、誘拐の電話を掛ける前に「今ならまだ冗談で済む」云々の科白で“俺達は顔を見られている”ことにも言及しているのだが、顔を見られた場合、基本線で誘拐された者を殺す路線は変更しようが無い。まあ、こういうユルイ認識しか出来ない誘拐犯だからこそ、この展開があるのは、分かるが、このままでは、最高得点は望めないのも事実である。完成度という尺度には、普遍的パターンとの整合性も含まれるからだ。
     また、ハルキが父親に認められる点については、彼の徹底して駄目な加減が、ハルキを冷徹な観察家たらしめており、その才能が、他のダメ人間に活力を与え、再生の機運を齎したことが描かれていたにも拘わらず、ラストでは、突拍子もない歌と踊りがヒットするという安易な展開になっており、小手先の印象を拭えない。以上、指摘した部分だけでも改善すれば、可也、完成度の高い作品になろう。
     それなりに楽しめた作品を作る力を持っているだけに更なる奮起を期待する。

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    2014/05/06 18:30

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