震える砂塵 公演情報 幻想芸術集団Les Miroirs「震える砂塵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    殻の中
     作家は、装飾銃剣が好きだと言う。だったら、セルバンテスが卒業した大学のある町へ行ってみたら如何か? 自分が行ったのは随分昔の話なので、今は様変わりしているかも知れぬが、歴史のある学生都市だから、まあ、色々探せば面白いものにぶつかるだろう。町の中心部のアゴラの回りは、イケテル“バル”がたくさんある。安くて旨いし、感じが良い。スペイン語もできるなら歓待されると思う。
     芝居自体は、五七調、七五調も入り混じる擬古典体に時々、現代ギャルの用いる偉く気安い表現が入るのは如何なものか? 貴族の用いる表現と民衆の用いる表現、都会と地方の表現の差をキチンと意識して使い分けているとは思えなかった。その辺りもキチンと表現するなら、表面上のアリバイ作りではなく、リアルな心理なり社会学的ジェンダーを意識してシナリオを書くべきだろう。今作を拝見した限りでは、ナルシシズムの域を出ていない。言語が、特殊な形を持って表現に供される場合、真にラディカルならば、それは、鋭い刃を持つ。そして、そうでなければ意味など無い。
     拘るものがあって、こういった形の作品を呈示しているのであろうが、未だ、夢を夢見ているレベルだ。殻を突き破って荒々しい現実と切った張ったする方が面白いよ。
     気に入ったのは、スタッフの丁寧で感じの良い対応と音響関係。歌姫、ラレを演じた祐妃 美也の歌は声楽家の歌には及ばないものの素人レベルでは上手い。音感も良さそうなので、レッスン次第では更に上が目指せるかも知れない。ノルベルトを演じた谷 英樹は、終始自然体に近かった。
    ミュルテを演じた風祭 鈴音も自然体に近い演技であった。
     ところで、miroirを名乗るなら、現代の現実を映して欲しかった。現代の現実は、もっと歪んでいるし複雑だ。鏡像も捻りを加えて欲しい。

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    2014/04/21 03:07

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