無論、肝心の主役、真野が何時頃現れるか? は、送別会の折、何気に確認してある。一応、その予定で準備を進めている。シナリオは体育教師の長壁が書いた。ゲネに近いリハーサルが為され、最終確認をしている所に卒業生がやってきた。フェイスブックを見たという。現在は警察官になっている近藤であった。現在、真野の生徒に接する態度は、おとなしい、冷たくは無いが距離を置いた生徒に葉余りインパクトの無い教師である。近藤の覚えている真野は、1時間近く遅刻してきて何だ、君? Who are you? と問う先生であったが、その注意の仕方に風情を感じる先生ではあった。その後、矢張り、ファイスブックを見た猿丸がやってくる。彼女は現在看護師をしていて夜勤明けだったが、Who are you? の真野が退任するとのインフォを見てかけつけたのだ。その後、現在、教職に就いている瀬良が来る。真野は熱血教師だったという役者をやっている井出が来る。誰も覚えていると言えない舞踏家の三村が来るで、ゲネレベル迄仕上げたサプライズ・イベントは、崩壊寸前。そこへ、現在は、市内でスナックを経営するママとホステスの熊野、園田がやってくる。彼女達の証言では、真野は、寒いジョークの先生だった、と言う。卒業の時代によって真野は大きく変化していたようなのだ。イベントに参加する人間が膨らみ収集がつかなくなるのが確実視されるようになったこの期に及んで、それでも、何とか纏めようと、本来のシナリオを持ち出して、訴える長壁であったが、終に真打ち登場。スパルタ教師だった頃の問題児2人、吉森と田川である。現在は、ヤクザになった彼らは、偶々、友人から真野が退任することを聞き、やって来たのだったが、風体、態度、言葉つきどれをとってもヤクザ以外の何物でもない。それで、皆、ビビってしまった。が、卒業生だというのでむげに追い返す訳にはゆかない。 一方、サプライズ・イベントの段取りは滅茶苦茶である。疑心暗鬼も起こる。ひょっとしたら、真野が借金をしていて、取り立てのヤクザが来たおではないか? といったようなことを心配したのである。女性教師が卒業名簿を調べると吉森も田川も名前が無い。借金取り立ての懸念がリアリティーを帯びて来た。そこで、長壁・保井は合同チームを組んで、何とか二人のヤクザを追い出そうとする。会場には現役警官もいる。いざとなれば対応する条件は整っている。問題は、ヤクザである彼らに問題を起こさせればいいわけだが、どんな問題をどのように起こさせるか、それが問題なのであった。唯、ヤクザでるというだけでは、逮捕などできないのは当然のことであるから。そこで、相談をした所、滅茶苦茶にマズイ飲み物を彼らに飲ませ、怒らせて暴力を揮ったら現行犯逮捕する、という案が出て、トライするが、他の卒業生が、飲み物の入ったカップを配る手伝いをして計画は潰れ、第2のミッション、に掛かった。例によって、長壁・保井がチームで彼らを侮辱し、怒らせようとしたのだが、彼らの法が一枚上手、総てジョークとして受け流してしまう。第3ミッションにとりかからざるを得なくなり、マズイ飲料を、今、手元に在る物と差し替えて飲ませ怒らせようとしたが、誤魔化し誤魔化しやっていた作業の終盤、椅子の下にもぐって差し替え作業をしていた近藤が不審を問われ、これも頓挫。グチャグチャになっている所へ主賓の真野が戻ってくるという見張りからの連絡が入り、兎に角、サプライズイベント優先で、皆、結束。段取りは、流れの中で自然にできたものに殆ど任せて、真野を迎える。 ここから先、感動のシーンが続くが、上演中なので、詳細は書かない。是非、観て欲しい。特に、学生時代、問題児だった人には。 とどのつまり、先生ってのは、信じられる人間が世の中には居るってことを教えてくれる人のことだ。幸い、今迄、自分にもこのような先生が居て下さった。お陰で、何とか人の道に背かずにやってこれた。有り難いことである。