化粧 公演情報 こまつ座「化粧」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    大衆演劇と母へのエレジー
    一人芝居という形式に必然性を持たせた仕掛けのある戯曲で、母親や大衆演劇に対するエレジー的なものを感じさせる作品でした。

    取り壊し直前の劇場で公演の初日を迎える大衆演劇の劇団の女座長の楽屋に、我が子ながら育てられずに養子に出し、その後スターとして有名になった息子が楽屋に訪ねて来ることから始まる物語で、楽屋での光景とこれから演じようとする演目が重なって現実と虚構の境目が曖昧になって行くのが印象的でした。
    あたかもそこに人が居る様に話し掛けたり相槌を打ったりするタイプの一人芝居で違和感を覚えたのですが、実はその形式が物語と密接に関係していて、一人芝居であることの意味が判明する終盤がスリリングで且つ物悲しかったです。
    「2、3回の稽古で覚えられないなら新劇に行け」という様な台詞や、歌舞伎やシェイクスピアで死に際に延々と長台詞があることを茶化したりするのが楽しかったです。

    終盤になるまでは意味がはっきりしない効果音や美術効果の入れ方の加減が良かったです。第2幕での化粧の仕方は説明的過ぎる様に思いました(戯曲でそう指定されているのかもしれませんが)。

    70分の間、本番前の支度をしながら淀みなく台詞を喋り続けた平淑恵さんの演技は素晴らしかったのですが、役の設定からすると可愛らし過ぎて、もっとドスが効いた感じでも良いと思いました。

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    2014/03/09 21:15

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