満足度★★★★
魅惑の演劇ごっこ
優秀な作・演出家と演技達者なベテラン4女優が本気で取り組んだ「演劇ごっこ」。そんな印象の舞台。
彼女たちが性別や老若を問わず一人多役で色んな人物を演じながら荒唐無稽な劇世界を自由に遊び回っているような65分は遊走的でひたすら楽しい。
これまでその作品に触れる機会のなかった福原充則氏が織り上げた、言葉遊びと豊饒なレトリックに満ちあふれたセリフの数々にも楽しませてもらったが、なんといっても本作の肝は先述の「ごっこ」感。
役者が音響と照明を兼ねているのも人手不足からそうしているかのようで「ごっこ」っぽいし、併走する2つのエピソードを役者たちが頻繁に行き来しながら劇を進めるのも、移り気で飽きっぽい子供たちが遊び感覚で気の向くままに演劇をやっている感じで「ごっこ」感濃厚。そもそも、一人多役というのがまんま子供のごっこ遊びだ。
そんな型破りなこの劇をどう終幕させるのかヒヤヒヤしたけど、なかなか綺麗に締めくくられていてホッとしました。
というわけで、演技がハイテンポで一本調子なのがやや気にはなったものの、満足度は4点。
ただ、正統派の演劇からはほど遠いので評価は分かれそう。