満足度★★★
マンネリとの闘い
時代劇エンターテインメントの型と人情を組み合わせるテクニックは流石だし、火消し衆の男気も格好良いのだが、矢張り、女性の扱いが、男の付随物的で気に掛かった。時代劇の要請としては必然なのだろうが、振り袖火事等を題材に、現代的とは言わぬまでも、通常の価値観と懸け離れたように見える価値観を呈示することは可能だろう。
エンターテインメントが保守的であるのも気掛かりだ。マンネリは免れないからである。一応、お上が、民衆の事を一切考えず江戸を燃やし尽くしてから新しい街を作ろうと考えているという都市伝説が流れる辺り、アイロニカルなポーズを採って見せるのだが、江戸城迄延焼するに及んで、この話は単に都市伝説でしかなかったことになってしまっている。
然し乍ら、現実の日本に於いて、民衆の言うこと、請願、要求など一切聞かないどころか、総て非常にダーティーな方法を用いて潰し、延々と民から搾り取る構造を維持して来たのが、この国の支配層である。安倍の周辺を詳しく調べて見るが良い。また、今迄起こって来た様々な事件の背後にどんな人脈が横たわり、それらの閨閥が何処でどのように結びついて日本を駄目にしてきたのか。エンターテインメントは、当に今、それを追求すべきではないのか? 高い志を期待したい。