1万円の使いみち 公演情報 monophonic orchestra「1万円の使いみち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    1万円が切り出す感覚
    物語は観る側が展開を予想できないように歩み、
    ふわっと流れていくのですが、
    そこから切り出されてくるものに、
    不思議な実存感があって、
    ものの見事に取り込まれてしまいました。

    ネタバレBOX

    物語のとっかかりも意外な感じがするのですが、
    そこからの展開にも、とても自然な予想のできなさがあって。
    役者たちが編むロールも、デフォルメされているのに
    とても肌に馴染む感じがして。

    ちょっとロードムービー的な展開もありつつ、
    その展開に惹かれるというよりは、
    最初はちょっと怪訝にも感じていた、
    ルーズに重なる人間関係や、それぞれの今の設定や、
    描かれる時間のそれぞれのテイストが、
    一万円にそのあいまいさを切り出され、。
    なんというか、観る側の腑に落ちるように一歩踏み出していくのです。

    どこか風変りな展開にもかかわらず、奇を衒っている感じが全然なくて、
    その結末には観る側の視野をすっと開く力があって。
    同じ時期のリーディング公演(水辺の家)を観たときにも思ったのですが、
    作り手の描き出すものには、
    観る側の意識に眠っているものをすっと揺り動かすような
    独特な視点や語り口があって、
    気が付けばその世界にしっかりと浸されている。

    役者たちにも、その身体や、醸す想いの色や、距離感などに
    スッと観る側を閉じ込めるいろんなベクトルの卓越があって。

    これまでにない、印象が残る作品でありました。


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    2014/01/03 13:29

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