1万円の使いみち 公演情報 monophonic orchestra「1万円の使いみち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    心からの拍手を送れず。。
     思わぬ形で戻ってきた1万円を映画学校に籍を置く青年が思わぬ形で使う話。
     何か物足りなさが残り、カーテンコールで心からの拍手を送れなかった。
     

    ネタバレBOX

     同じ映画学校に通っていた大切な女友達が自殺するのがすべての発端。
     遺書で指示されていたのか、主人公の久我大和は故人に貸していた1万円を学友の美佳(津留崎夏子)づてに返却され、どうせ上げるつもりだったそのカネを元手にドキュメンタリー映画を製作。「好きに使っていいよ」と行きずりの大学生・代田新(篠崎大悟)に渡し、「これでいろんな人に会いに行きたい」という新をカメラで追いつつ私鉄で旅をする。
     作・演出の須貝さんがアフタートークで語ったところによれば、「これは主人公が悲しみを乗り越え、また前を向いて歩き出すまでの話」だそうで、この言葉を裏付けるように話は開放感あふれるシーンで終わるが、カーテンコールで心からの拍手が送れなかったのは多分この開放感を共有できなかったのが原因。
     開放感を味わうためにはその前にしっかりと“閉塞感”が描かれる必要があるのに、その描き方に不足があるのだ。
     自殺した女とやはり親しかった美佳とふたり、紐にからまりながら憂い顔でその死を語り合う場面は悲しみを雄弁に物語っていたが、それだけではまだ不十分。まだまだ悲しみを描き込まねば、終幕で表現される“開放”が“開放”として感じられない。
     さらに言うなら、悲しみを表現するには死んだ女が主人公にとっていかに大切だったか、そこも描かれる必要があるだろうに、その点についてはほとんど描かれていなかった。
     ただし、ノーテンキと言っても差し支えないほどの突き抜けた明るさで主人公を元気づける代田新というキャラクターはすこぶる魅力的。こんな男と旅をすれば大和の悲しみも癒えそうに思えたし、演じ手の篠崎大悟が所属するロロの舞台が観たくなった。

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    2013/12/18 19:18

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