満足度★★★★
演劇玄人さんたちを味方に!
明転した瞬間から引きこまれた久々の作品!テーマは重苦しいのに、「欲望」「理性」「正義」のせめぎ合いという頭脳戦が楽しくて、終始ニヤニヤしながら見てしまった。まるで明確なテーマが先にあって物語で肉付けされたかのような面白さだ(そういう作風の作家なのかもしれないが)。1956年に書かれた原作だというが、西沢さんにはこういった作品をどんどん掘り起こし、現代によみがえらせてほしいと思った。物語の展開によって(視点が変わることによって)、どういう結末を迎えてほしいかという私自身の正義がコロコロ変わるのも怖かったが、この、永遠に答えの出ない感じは何だろう?と思えば、遺族感情や世論に重きを置いた今の日本の死刑制度に似ているのだ、と思い至った。クレーレは、「復讐」をキーワードに容疑者に対して声高に死刑を叫ぶ遺族のようにも見える。もちろんこの作品にはそれに「金」の要素が加わっているので、そのままとは言えないが、来年以降、同じような選択を迫られる裁判員たちが確実に生まれるのだなあ、と思うと、後味の良さ、悪さは問題ではない、これは一筋縄ではいかないぞ、と何故か覚悟を決めたり…。ずっと後まで影響を与える作品だった。そんな知的な作業をしているだけに、もう少し宣伝ビジュアルを洗練させて、演劇玄人たちを味方につけてほしいと思った。
2008/06/17 01:28
ご来場いただきありがとうございました。
そして「観てきた!」のクチコミもありがとうございます!!!
演劇を通じて、古今東西の面白い作品を取り上げ、皆さんにご紹介する。
それがしっかり果たせた公演だと、感じることができました。
快くない事件ばかり続く昨今、法の制度も変わりはじめて
一般市民も色々な権利や責任を負うようになってきました。
団体意識に流されて気がついたら・・・なんてこともあるのかも・・・と思うと、
どれだけ自己を保って意見していけるものなのか考え、ビクビクします。
今後も興味深い作品をご紹介していきたいと思っていますので、
是非次回作もご覧いただきく存じます!!♪どうぞ宜しくお願いします!