某日快晴ワレ告白セリ 公演情報 タッタタ探検組合「某日快晴ワレ告白セリ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    傑作 対絶べし観る
     オープニング、映像用の幕が準備されると、揺らいだ画面に最初に現れるのは、雲に関する表現。その後、学校時代、誰の脳裏にも印象的なシーンのパーツや切り取られたシーンが映し出されて、思わず自分の学校時代に呼び戻されてしまう。巧みな導入部だ。

    ネタバレBOX

     有田のクラス2年2組には、転校生遠山がやって来た。博多からの転校である。中々可愛らしいこともあって、クラス中の人気者になるが、クラスの女子が、入部を勧めたり親切のつもりで色々誘いを掛けたのを断ったのが、きっかけで苛めが始まる。テニス部部長の橋本は、新聞部部長の逸見に好かれていることを悪用して、校内の情報を操作し、人気など全然なかった学級委員を既に生徒会長に就任させた実績を持つ。対立候補に関する悪評を流したのである。それも、小部数の新聞を、口が軽く噂好きな連中にこっそり渡し、噂を広めさせるという巧妙な手口で。結果は歴然たるもので、全然、人気の無かった学級委員が生徒会会長になった。その手法を今回も使った。おまけに、クラスで、露骨な苛めを開始する。恰も、自分達も噂を通じて遠山の素情を知ったとでもいうような顔をして。
     一方、偶々、書いた詩を音読していた有田は、遠山に詩を聞かれてしまう。中々詩才に富んだ作品だったので、彼女の気に入られる。また、遠山は飛行機雲が好きで、良く窓外を眺めたりもしていたので、当然、屋上へも良く上がってきた。有田は天文部の部長(と言っても部員は彼だけなのだが)なので、屋上へは矢張り天体望遠鏡を持って良く上がっていた。そんなこんなで、有田と遠山は親しくなった。其処へ、苛めである。有田もクラスの不良達からパシリとして使われ苛められてきたのだが、彼女への思いが、彼を強くし、我慢をしてやり過ごすという生き方を変えさせた。彼は、彼女を庇い、苛めている連中に注意をしたのである。不良の方でも、遠山に思いを寄せていたので、腰巾着が、お膳立てした、彼女に取り入るチャンスを奪われて切れ、有田を殴る。その場は、スケ番の風格を持つ真鍋に止められてそのまま収まったが、本当の喧嘩と妄想癖のある有田の妄想シーンとが、挟み込まれて笑いを誘う辺り、流石にタッタタ探検組合の作品である。
     場面転換がかなり多いので、暗転が結構あるのだが、ちょっと深読みすると面白い。この暗転に場面転換だけを見るのでなく、秘密保護法案を重ねて見るのでる。すると、暗転によって、見えなくされた情報を、当に暗闇の中で想像している近未来の我々の姿が映し出される。シミリとしては、直接の当てこすりが出てくるが、この暗転をメタファーと読むことによって不気味な我らの未来が暗闇によって照射されるのだ。闇が、逆にヴィジョンを見せるのである。
     物語は、更にエスカレートした苛めを巡り、有田が、心ならずも漏らした一言で遠山が深く傷ついてしまうことにも及ぶ。「可哀想」という言葉が、彼女の自尊心を深く傷つけてしまったのである。それは、彼が彼女を庇う過程で発した一言だったのだが。屋上で有田は、何とか彼女を元気づけようと詩を献上する。本好きでデリケートなメンタリティーを持つ彼女は、有田の心を理解し、何とか気持ちを収めてくれたが。彼女はまたもや転校することになってしまった。保健の先生が、そんな彼女が書いた25年後への手紙を預かり、英語の授業中に持ってくる。そして、未だ間に合うだろうからと言って彼女の出発したことを告げる。この時、英語教師は授業を邪魔したと怒って保健の先生や有田を押しとどめようとするが、体が小さく小心だと侮っていた有田が遠山を庇って自分達に歯向かって以来、苛めなくなっていた彼は、英語教師を止め有田は駅迄、生まれて初めての一所懸命さで走る。だが、彼女の出発を見送ることはできなかった。1年後、彼女は交通事故で亡くなる。その24年後、廃校の決まった母校に来た有田は、皆から集めた本物の手紙を隠し場所から取り出し、彼女の手紙の封を切る。其処には、彼女の感謝の言葉と彼への好意の言葉が書かれていた。ところで担任教師に渡した25年後の自分への手紙の中味は人数分の呪いの手紙であった。

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    2013/11/17 04:46

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  • 谷口 有さま
     了解しました。近いうちにお誘いします。
                       ハンダラ 拝

    2013/11/21 12:25

    ハンダラさま
    是非是非、誘ってください!

    2013/11/20 18:31

     谷口 有さま
     自分のまだまだ未熟な劇評を評価して下さる方が、谷口さんのような
    優れた演劇人であることを大変光栄に存じます。こちらこそ、タッタタ探検組合が、
    毎回、優れた作品、演出で表現なさるばかりでなく、新たなことにチャレンジなさる姿勢に
    大変、感銘を受けております。ホントにゆっくりお話させて頂きたいですね。中野に蛇皮線を
    弾いてくれる良い飲み屋があります。今度、ご紹介しますので、お酒大丈夫でしたら、
    一杯いきましょう。今後ともよろしくお願いします。
                                            長谷川 明(ハンダラ)拝

    2013/11/20 17:09

    ハンダラさま
    いつも本当にありがとうございます。
    そしてハンダラさまの深い劇評には毎度頭が下がります。
    いつかお時間のあるときにゆっくりお話しさせていただきたいと思っております。
    今後ともご指導ご鞭撻をなにとぞよろしくお願い致します。

    2013/11/19 15:31

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