セツナイカラダ'91 公演情報 Tricobo×ハイブリットハイジ座「セツナイカラダ'91」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    余りぺダンチックになる必要はない
    第一部は、欺瞞社会の生みだすホラー。第二部は、奇妙奇天烈を衒ったマトモ。

    ネタバレBOX

     中学の同級生4人は、ルームシェアをして生活している。タケちゃん、アキホ、カスミ、エリの4人だ。アキホとカスミはカップル。タケちゃんは盗癖があり、カスミから脅されている。一方、アキホは、エリと肉体関係を持ったことがある。ところで、スマホに配信されたニュースに矢張り中学の同級生、セイコが、インドで飛び降り自殺を遂げた、というニュースが配信されていた。セイコはタケちゃんに好意を寄せていたのだが、カスミは、これを利用してタケちゃんにセイコを呼び出させ、顔に大きな傷をつけさせた。以降、彼女は物凄く大きなマスクをつけて登校していた。そのことを含めて、彼女は皆のからかいの対象とされ続けた。つまり、陰惨な苛めがずっと続いていたのである。その原因の決定的なものを作った同級生は、総てここにいた。
     セイコの自殺記事が出て以降、この部屋には怪奇現象が起こる。突然、電器が消える。何かが落ちる。窓の外を制服を着て後ろ姿のセイコが音も無く過る等々である。
     セイコのことなどすっかり忘れていた彼らだったが、いつの間にか現とも幻とも判断できなくなるほど追い詰められて初めて、自分達が、面白半分にセイコを苛めていたことに気付き始めている。この中で、直接セイコ苛めに関係していないのは、アキホだけだ。彼は、いくら酔っ払っていたとはいえ、この2カ月だけで2回もタケちゃんに財布の金を抜き取られている。而も、本人は酔っ払って何処かで落とした、か使ってしまったのを忘れた位にしか思っていないようなのだ。他の3人はある意味でグルだ。犯罪情報を共有しているからである。
     今作で注意して置かなければならない点は、犯罪情報を共有している3人が、支点としているのは、常に苛め、からかいの対象であるということである。最初はセイコ。次は、アキホ。而も、アキホの現在の彼女は、カスミ。おまけにエリが誘ったとはいえ、かつてアキホはエリと肉体関係を持っていた。
    身体二元論を持ちだすならば、悪とはいえ、精神的犯罪には、タケ、カスミ、エリが関わっており、肉体レベルでは、一夫一婦制の破戒である男1人に2人の女という非倫理的な問題が露呈する。而も、肉体の非倫理性に対して優位にあるのは、精神という形の悪なのである。更に言うならば、作家は、これらの苛めの埒外に傍観者としてい続けたが故に、苛めの卑劣を知っており、その卑劣の告発をする為に、このような作品をものしたのではないか。一定の正義漢を感じると同時に傍観者であったことの罪を己に問うまでには至っていないようにも思うのだ。その原因は、欺瞞社会をそれとして認識しつつ己をその構成者の一人と規定し、ラディカルな外部者になろうとしていない点にある。ここから先、本気で演劇に関わっていこうと思うなら、根源的であると同時に本質的なラディカリズムについては考えて見てほしい。

    第二部ハイブリッドハイジ座
     主人公を演じた身体能力の高い役者、奇妙奇天烈を衒った作り方はしているが、案外正常だ。その分、深層分析をする必要があるだろう。(追記後送)
     体にコーラ臭の沁みついた男、彼を恋する女。

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    2013/10/19 13:19

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