満足度★★★★
海馬を巡る冒険
舞台は、我々の脳で記憶を司る海馬と同じ機能を持つスーパーコンピューターが開発され、人の記憶を自由に外部にアウトプット、インプットできるようになった未来の在る時代。主人公は、どこにでも転がっている無特性のサラリーマン、梶原 辰夫。彼は、要領の良い妹とは対照的に何をやっても冴えない。かといって完全な落ちこぼれでもない波風の立たない人生を送っている。妹の結婚も決まり、定年を迎えて暇を持て余すようになった父からは、「お前も早く結婚しろ」とヤイノ、ヤイノの催促。唯一の自慢は、朝7時半にセットしている目覚まし時計の音で目覚めたことが一度も無いことである。つまり、その前に目覚めて目覚まし機能をストップさせているのだ。目覚ましを買って10年ずっとである。(追記2013.9.28)