花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品) 公演情報 十七戦地「花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★


    面白い。

    ネタバレBOX

    宮崎県の漁村に、半魚人のような怪物が海からやってきて、農作物を荒らしている。殺処分しろと主張する村人らを前に、国から派遣された職員らは共存を考える。しかし、それも空しく殺処分へ方向転換することになり、調査員の七生(北川義彦)は、血まみれになりながら怪物を殺し続ける。田舎の暗部が写し出された矢先、怪物が世界各地に出現するようになる。言い伝え通り村人らは次々に魚となってゆき、神楽の舞手・花(藤原薫)は赤ちゃんの絵を七生へ託す…。

    110分。色々削ったろうなと思うけど、登場人物全員が動いてて存在してっていい描き方だった。
    田舎っぽい特殊な閉鎖空間と排他的思想、差別意識…おぞましい感情を派手にせず描き、思わず引き込まれる。草野妻(鈴木理保)の手段を選ばないトコとか、先代会長の妻・日出子(峯岸のり子)のおだやかそうなツラしてえげつないトコとか。特に日出子は花の母の件(村の金持ち出し)も分ってたと思うが花に悪びれもしないとか、いいキャラ造形だと思う。根拠とかあいまいなところから、思い込み凄まじい行動力を見せる怖さを垣間見た。殺処分派の根拠より結果優先なトコとか。

    舞台は田舎だけど、会社とか教室とか狭い空間で起こりうる、人間の暗黒面の描き方が上手かった。何も起こってないけど恐怖心とか自尊心から結果を決めてかかる(観察・検討をすっとばして)という。

    人が魚になるって結末もいい(神話のくだりとか研究所の話はもうちょい尺とってもいいけど)。話だけきけば幻想的だけど、現実はそら恐ろしい。
    神が下した天罰というべきか。世界のサイクルというのか。伝説を知ってて神に近い存在だった?花はなにを思って魚になったのか。そんな中、最後まで諦めない七生が希望の星というのか。人間は存在し続けられるのか。それとも赤ちゃんの絵を新たな地球の生物が眺めているのか。
    神話的な終末が美しくもあり、厭世的でもある。

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    2013/09/15 23:10

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