被告人~裁判記録より~ 公演情報 アロッタファジャイナ「被告人~裁判記録より~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    拍手喝采。
    私が一番最初に観た劇団であり、これからも一生観続けるであろうアロッタファジャイナ。最近の、様々なものが削ぎ落とされ且つ特有のフェティッシュ感は失わずにシンプルに人間の力を伝える作劇スタイルがなんだかとっても好きで、3月の新国立劇場での「国家」同様、観ていて終始ワクワクしっぱなしでした。

    今回は実験公演とのことでしたが、裁判記録そのままかと思いきや、その被告人たちの言葉を伝えるために実に効果的な演出が施されていて・・・父を殺された娘の復讐や士官学校の先輩後輩の邂逅、実際にはありえないであろう被告人と面会者との抱擁等々がこの上なくドラマチックに観る側にその心を伝えてきて。役者さんの誰もがその人物の思想を自らのものとして心身に取り入れて発する力を持つことの凄み、そんな演劇の魅力とともに実に力強く濃密な2時間を体感させてくれました。どうやら実験は大成功のようですね♪

    ネタバレBOX

    秋葉事件はどちらかというと弁護人の役者さんの方が被告のイメージに近かったのですが、彼ではなく笹岡くんが被告人を演じたのは・・・客席に役者さんを座らせて芝居をする演出とともに、犯罪者は私達のような「普通の人間の理解が及ばない特殊な人間」ではなく、周囲の人達と何ら変わりのない隣人であること、同じ人間なのだということを暗示していたのではないかなと思いました。

    断然引かれたのはナカヤマミチコさん演じる木嶋佳苗。流れは予定調和的なものを感じたものの、男性を篭絡するその手腕にうっかり憧れそうに(滝汗) 彼女に対峙する殺された男性の娘が、徐々に「女としての嫉妬」にしか見えなくなる様が圧巻。

    社会党党首刺殺事件は、恥ずかしながらこの公演で扱われなければ知ってませんでした(滝汗) できるのはずの無い抱擁に、真っ白な衣装を着た二人の純粋な思いが伝わってきて・・・ひたすらロマンチックでした。

    226事件は、最初は法務官役の大森さんが凄いなぁと思って観ていたのですが、ラストの平子さんが圧巻。思想的な物は難しくて完全には理解できてないのですが、その熱意を伝える平子さんの魂の叫びに心の中で拍手喝采。いや、実際拍手していた人がいましたよ。凄かった。

    平子さんの熱演からの、ジャンヌの静寂。地下牢に降りてきた神の使いがジャンヌの疲れきった精神を粛々と語らせる・・・。照明はロウソク一本。縄田智子さんの凛とした美貌が映える美しい光景でしたが、残念ながら神の使いが跪くシーンは暗すぎてジャンヌの表情が全く見えませんでした。。これは意図的なもので観る側にどんな表情をしているかを悟らせたかったのかもしれません・・・しかし、もしそうでないとしたら演出が変わるはずだと思い、リピートをしたかったのですが叶いませんでした、無念。

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    2013/09/01 21:32

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