満足度★★★★★
アメリカと屈辱
何ともアイロニーに満ちたシナリオである。だが、正鵠を射ている。この植民地に暮らす人々の屈辱と意地、如何ともし難い現実を尚、我々自身が引き受けて行く為の、昏い決意を、自分も継承しよう。
本牧TK Clubは、進駐軍相手のクラブ。時は敗戦5年後の1950年、戦前、戦中の庶民の暮らしも決して楽ではなかったが、戦後数年の間は、法に従っていれば、栄養失調で死ぬのは、間違いなかった。従って、生き残った者は、生きる為には何でもやった。進駐軍相手の飲み屋ともなれば、無論、何でも売っていたのである。
アゲハは、この店のNo.1、付け人のサナギは彼女の妹だが、二人は戦時中、慰問団の看板女優と美少女ダンサーであった。然し、サナギは在る事件を境に人前で声を失う。
助六役の丸山 正吾がいい。隈取をアレンジした化粧も、その衣装も、敏捷な動きとジャンプ力、身のこなし、男伊達、何れも良い。無論、演技もこなれていて、本牧の助六の貫録、歌舞きぶり充分堪能させて貰った。
然し、よくこれだけの内容をエンターテインメントに仕立てた。お見事。(追記2013.8.31)