螺旋状の滑り台 公演情報 劇団ライムライト「螺旋状の滑り台」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ドキュメンタリーを演劇でやる必要あるの?
     殆ど、チャールズ・マンソンファミリーの起こした偽装殺人事件に関する再現なので、大方の内容はネットでも簡単に見ることができる。

    ネタバレBOX

     シャロンテート事件を起こしたチャールズ・マンソンとそのファミリーの行状をかなり史実に近いドキュメンタリー風に演劇化した作品だが、作家・演出家が、今の日本で、何故、チャールズ・マンソンファミリー事件を演劇という手間暇の掛かる媒体で表現するのか、その意図が、良く分からない。ドキュメンタリーであれば、映像で充分である。何も演劇にする必要はない。
     演劇化する必然性は、こういった作品を公演した背景に、現代日本人の抱える閉塞感が在るということなのだろうか? そうであれば、その辺りの連関をつけるシーンを入れるか、似たような事件は、日本でも起こったのであるから、オーム真理教事件との対比に於いて描くべきであったろう。無論、その為には、C.マンソンファミリー事件の資料として100冊、オーム真理教事件の資料として同数程度の本を読むことは、作家の義務である。その中には、新聞記事や、雑誌記事なども含まれよう。それが、どう報じられたかも、時代時代の社会の動き、共通した心理的傾向などを読む為に参考にするのである。自分は英語が出来ないので遣れないが、一作品を普遍性迄含み込んで描く為には、この程度の努力は当然である。そうやって得た知識と有象無象を溶かしこんだ自分の精神と頭で、何故、今、この作品が、ここで上演されなければならないのか、ということについても考えるべきである。今作は、偶々、事件自体が異様でエキセントリックな様相を帯びている為、興味本位で観るだけでも面白い作品にはなっている。然し、それは、劇作家・演出家の本来の仕事ではあるまい。
     劇作家に限らず、作家の仕事とは、己の属する共同体に対する様々な風向き、強さ、被害の出るか否かなどの諸関係を、観客の知識の有無に関わらず、そのレベルに於いて理解させるべく作品を設えることにあろう。無論、プリミティブな人々の言う、才能だ、とか、そんなことが測れるのか、とかいうような意見は重々承知している。然し、無論、測れるから言っているわけだし、それができて当然なのが、作家の才能というものだろう。自分は、それを方法的制覇と名付けよう。普通の人間にもこの程度のことはできるという意味だ。そして、真の天才はこの限りではないが、それでも相当部分が重なっていることだけは確かである。従って、先ず、この程度のことは分かった上で進めて頂きたい。年寄りから、若い方々への願いである。

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    2013/08/27 05:00

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