満足度★★★★★
黒の舟唄
男は不老不死、進化しないが退化もしない。昨日のような明日を永遠に生きていた。眼下に拡がる森を管理して。森の何たるかを知らず、森の内実を知らずに。
一方、女は独自に進化し単性生殖するようになっていた。森の子を孕み、口から出産するとその生を終えるのであった。森には、女達の他にアメフラシが住んでいた。彼らは、雨を伴って現れ、2進法によって組みたてられた言語を話した。女達の中で、母と呼ばれる者は、不思議な力を持つ杖を持ち、時折、アメフラシ達を内破していた。無論、母は、最長老でもあり、娘達の知らない管理所のこと、男という生き物についての知識も持っておりそれ故にこそ、崖下へ行くことを娘達に禁じていたのだが。