極東の地、西の果て 公演情報 TRASHMASTERS「極東の地、西の果て」の観てきた!クチコミとコメント

  • “硬派な肌寒さに抱く、人間臭さ”




    社会派の舞台に当てはまる声として、「今の時代だからこそ、意義がある」という評価の仕方が一般的だろう。
    例えば、この国が徴兵制へ繋がるタイプの憲法改正に進みつつあり、それを容認してしまう日本人なるものをディフォルトする舞台。

    しかし、『トラッシュマスターズ』は、今しか通用しない舞台は造らない。何度でも再演する。
    極めて“普遍的なテーマ”を、社会へ、国へ、私たちへ投げかけるのである。

    それは、肌寒く、不安な中の旅路かもしれない。そして、もがき続け、その先に 掘り出される、愛だとか、仲間だとか、きな臭い人間らしさが、 私たちの目の前に
    きっと 現す。“きな臭さに賭けたい”、そう思えた時、下北沢の光景が、違って見える。




    語る人には、力が備わる。

    思想•コトバを持つ舞台には、力が備わる。


    私たちは、劇場を漂う肌寒さの中で、日本の政治•社会システムの終焉と、そのオモテ裏に位置する人々の“些細な”行き違いを、確認した。
    一定の速さで下ってゆく滑り台のようだった。
    彼等は、太陽が登り、落ちていくリズムで、滑り台を下ってゆく。


    その下降線を、私たち は 幼児を心配する母親のように、見守っていた。


    TPPで変わる、日本の農業。

    TPPで変わる、日本の暮らし。


    歪曲し伝える、日本のマスメディア。


    今、この国が直面する進路の、二歩先を まっすぐ描く。
    賛否さえ越えた現実。


    緊迫する身体だからこそ、その目は、コトバは、事実を語らなければならない。緊迫するシーンにおける、煽らない演出が、逆に事態を深刻にする。
    私たち は もう、幼児だけ見守る母親ではない。この国の進路と、同時並行に歩む、一人ひとりが 力のない 演出家である。












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    2013/07/26 00:39

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