満足度★★★★★
津軽三味線の魅力
踊の特徴は、高音部の多用と撥の返しでも他の弦を弾く奏法の多用、更に弦を共鳴させ、棹を唸らせることによって恰も琵琶、琴の音を思わせるような音を聴かせる点にあろう。
そもそも、津軽三味線で使われるのは太棹、通常の三味線は、三毛猫の皮を使い、重さも1.5kgほどの細棹だが、太棹は約5kg、胴に張る皮も犬の皮である。他に中棹があり、こちらは地歌などの伴奏に用いられる。
今回、演奏に用いている撥の手元は象牙、はじく側は鼈甲である。弦は3本で材質は絹。一番上が最も太く、強い音で、聴衆を驚かせ、一気に津軽三味線の世界に引きずり込む。真ん中の弦は、優しい音色、一番下の弦は、最も細くしんみりした感情を表すのに適している。
有名な「津軽じょんがら節」や「津軽よされ節」「津軽おはら節」にしたところで、大体曲想は決まっているものの、中味は基本的にアドリブなので奏者によって大いに違う。
先に踊の特徴を上げたが、この他に新しい曲想へのチャレンジがある。大いに、曲想と戯れているのである。この実験的精神と遊び心をどう捉えるかで評価が分かれるだろう。無論、技術は非常に高い。