ある苅屋くんの人生 公演情報 怪傑パンダース「ある苅屋くんの人生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    前説は観ていないが本編は楽しめるスタイリッシュな舞台
     冒頭、「この世は舞台、ひとはみな役者」シェイクスピアの有名な科白が引用される。
     オープニング、上手から下手へ移動するグループと下手から上手へ移動するグループが、段差を設けられた舞台上をスローモーションで移動。式場の階段を結婚式を終えたばかりの新婚カップルが降りてくる。この時の照明センスが抜群で舞台効果を高めている。当初、やや暗めで移動する人物像がシルエットのように浮かび上がるか上がらぬかの微妙な明度だったが、カップルが階段を降り切る辺りでぱっと明るくなり、新郎新婦の友人たちが、普通の動作に戻って、クラッカーを鳴らす。

    ネタバレBOX

     この刹那、リストラをされたことに恨みを持った暴漢が大きな刃物を持って登場、新郎の友人を刺そうと向かってくる。友人は、腕を切られたが、手洗いから戻って来た新郎が、友人を助けに入り、胸を刺されて病院へ搬送されたものの死んでしまう。
     冒頭シェイクスピアの引用にあっように、人生がシナリオ化されていると言う前提で物語が展してゆくが、これは、霊界で霊の生殺与奪を管理している会社の意向によってである。然し、人生はホントにシナリオに書かれていることだけで進んで行くのだろうか? 意思の介在する余地は無いのか、といった当然の疑問が湧く人も多かろう。
     新郎、拓也は亡くなってしまった。新婦、は、失意の底に沈む。彼女は、自分も飛び降りて、彼の下へ行こう、と高いビルの屋上に上がり、飛び降りようとした刹那、強風に煽られて我に返り、自殺を思いとどまった。だが、そこへ、拓也を殺させた冥界のエージェントが現れ、自殺を思いとどまった彼女を無理やり屋上から突き落としてしまう。彼女も結局は絶命。冥界へ旅立つが。
     一旦、冥界へ魂が到着してしまうと24時間以内に現世へ戻らなければ魂は消滅してしまう。そこで、生まれ変わりの為の手助けをしてくれる人物を探し、次のシナリオを急いで見付ける必要があるのだ。拓也は、幸いこの人物を素早く見付け、次のステップに進もうとするが。その途上、「自殺」という形でエージェント達に殺された彼女に再会する。だが、それも束の間、会社の利益を守ろうとするスタッフ達に捕まり拓也はプロデューサーに、新妻は、生まれ変わりサポートに捕まってしまう。
     一方、新郎新婦の友人達も、式終了後、無念の死を遂げた拓也の妻を慰めようと結婚後住むはずであった新居へと向かうが、途上、待ち合わせに遅れた、オカルト好き不思議友達は、トンデモナイ情報を持ち込んできた。新婦が後追い自殺を試みたというのである。偶々、彼女は、占い師に不思議な小箱を貰っていた。その小箱を貰った時に、占い師の「悪いことがあったら云々」という占いは当たっていた。日本で最優秀と言われる大学の院を優秀な成績で卒業した新郎友人も、早速、地べたに数式を書いて所謂オカルトと言われる事象の現実性を計算、また、ニュートンが万有引力を発見した時に人々が、彼の業績を何と呼んだかの歴史的な事実を指摘し、分からない事象は、現実に在り得ると結論する。結果、友人達は謎の箱を開けてみるが、中には何も入っていなかった。だが、占い師が、現れた。ホログラムような投影像かと思うと、実態だと言う。何れにせよ、彼女の後ろ盾を得て、幽体離脱を果たした友人4人も、冥界へ旅立つこととなった。
     冥界では、天主は、数多くの星で仕事をしている為見付からないと思っていたのに査察に目をつけられているとの情報も入ったばかりではなく、闖入者が現れたり、と異常な事態に戦々恐々である。既に天主の命を受けた査察サイドの密偵や捜査官が潜入しているとみて良さそうだ。死者の魂を管理するプロデューサー、監督、スタッフ、魂のお助け屋、ガードマンら対新婚夫婦及び友人と彼らをサポートする査察官らの戦いが展開される。勝利するのは、どちらか、 占い師の正体は 新婚カップルはどうなるのか 捕まった者達は大丈夫なのか、罠は仕掛けられていないのか等々畳みかけるような展開が続く。

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    2013/06/22 15:16

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