満足度★★★★★
物語りは日々成長を続ける。
包み隠さず言えば、正直「ビョードロ」初日の公演は、個人的に、終始しっくりこず、どこかモゾモゾした気持ちのまま観終えてしまった。でも、ある日の公演で、突然、本当に突然、「カチリ」と頭の中で音が聞こえるくらい、それまでバラバラだったピースの一つひとつがキレイにハマったかのように、作品の世界が美しく整い立ちあがってきた。驚いた。「物語りは語って初めて成長はじめる」とは、主宰末原さんの言葉だけれど、その言葉のとおり、日々猛烈な勢いで成長を続けるこの作品に、できるだけたくさんの方に出会ってほしい。と今では心から思う。もし、前半戦に参加された方で、私が初日に抱いたのと同様の感想をお持ちの方がいるとしたら、その方には、ぜひもう一度参加してみることを強くお勧めしたい。そうすれば、恐らく、最初に観た時とはまったく違う「ビョードロ」に出会っていただけるのではないかと思う。残り10ステージ。公演が終了してしまえば、どれだけ望んでももう二度とあの美しい「月色の森」に迷い込むことはできない。そう考えるだけで、今から泣きたくなる