満足度★★★★★
人々が、劇場が喜んでいる!
会場となるd-倉庫には何度か足を運んだことがあるが、今回のおぼんろの様な使い方をしている劇団など一度もない。縦横無尽に客席の周りを走り回るスタイルのおぼんろを芸術劇場の「おぼんろ博物館」で体感したと思っていたが、その比ではなかった。まず、入場から他の劇団と画す。開場少し前にd倉庫に付いたら、目の前には大行列!2階ロビーからの入場が通常だが、なんと搬入口が入場口。その扉が開け離れ、通常時は舞台である場所、そこには段ボールとクッションをうまい具合につかった桟敷が置かれていた。その間を通って中に入っていくと、劇場中央で受付が行われている。劇場を
見渡すと、段ボールやペットボトル等で作られた美術が目に留まるのだが、それが何とも美しい様相を醸し出している。受付をすました後に方々に好きな席につく。満席の会場で役者達が客と談笑をするこの方法は芝居が始まる前に会場を温める大事な役目を果たしているのだろう。末原拓馬のおぼんろ参加への心得から始まり、ゆっくりと物語へと導入していく。劇場内のありとあらゆる場所が演技スペース、後ろを振り返り、上を見上げ、真横を駆け抜けていく。多くの芝居を観劇してきたが初めての感覚に陥る。
くぐるという病原菌を生み出すビョードロという民の儚く切なく痛みを伴う物語。レベルの高い役者陣で演じられる最高のエンターテイメント。
初日からのカーテンコールが「ビョードロ~月色の森で抱きよせて~」がいかにすごい作品かという事を証明している。
私は他の観劇予定をキャンセルしてでも、後数回は劇場に足を運ぶだろう。