ミュージカル「ブッダ」 公演情報 わらび座「ミュージカル「ブッダ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    『ブッダ』
    冒頭から、異国情緒あふれる音や光、そして人々の動きに引き込まれる。

    言葉での状況説明はほとんどなく、人々の営みが、大河のように目の前を流れていく。

    洪水、戦争、病気、老い、死。それを見つめるシッダールタの目線を共有するかのように、観客もとまどいながらそれを見つめていく。

    舞台上での物語の進行はわかりやすいとは言えない。けれど、その混沌がある意味この世界そのものなのかもしれない、などと思ったりもする。

    ネタバレBOX

    さまざまなものを見つめ、受け入れていくシッダールタと対比させるような、獣の血を引くタッタ(原作とは設定が異なる)の荒々しい生き方が印象に残る。

    タッタだけではなく、シッダールタの周りでさまざまな人々の想いがつづられる。

    シャカ族とコーサラ国のいきさつや、コーサラ国の王子の葛藤。
    女盗賊の聖者への恋慕。
    シッダールタの妻の誠実。
    乱暴な巨人のうちに秘めた優しさ。
    そして何より、シッダールタの周囲でうごめく市井の人々。

    悩み、迷うことが生きることなのか。さまざまな問いかけ、そして助けを求めて差し伸べられる人々の手。

    それらすべてを包み込む、シッダールタのまなざし。ラストの彼の歌声が、さまざまな混沌や苦しみを浄化するように聴こえた。

    主役のシッダールタを演じる戎本さんの澄んだまなざしと、タッタ役の三重野さんの野獣の眼と荒々しい動きが印象に残った。

    また、美術、衣装やメイク、舞台上での楽器演奏なども見応えがあった。

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    2013/05/09 01:31

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