ウェルカム・ホーム 公演情報 天才劇団バカバッカ「ウェルカム・ホーム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アメリカナイズされてはいるがおもろい
     藤田家は大家族、子供10人、父、母、祖母を加えて13人家族なのだ。13年前、この一家は、TV番組の取材を受けた。ディレクターは、敏腕な松村。(追記4.24)シナリオもしっかりしており、力のある劇団と見た。

    ネタバレBOX

     だが、彼が、この番組を受け継いだ頃には、やらせが定着しており、而も、藤田家の母親は、自らやらせを頼んでもきていた。松村の前任者は視聴率を下げており、松村は視聴率アップの為、嘱望されての配属であったから、視聴率回復の為にはエッジの立つようなシャープな構成と画面にするしかなかった。それもあって、松村は母の提案に乗ったのである。視聴率は上がり、番組は活気を取り戻したが、やらせ疑惑で頓挫。松村はしょぼいグルメ番組に左遷され仕事をやる気も無くしていた。ところでこの番組には、矢張り、誤解からスキャンダル騒ぎになって左遷されて来た市川と、市川にホノ字の郁美が部下としてついている。
     一方、藤田家では、その後、やらせ疑惑の件が出演した家族に重くのしかかっていた。学校で苛めに遭う。馬鹿にされる等々で、学校に行けなくなる子すら出る始末であった。而も、父は早く亡くなって金銭的にも追い詰められていた。番組放送から13年が経って、TV局、藤田家双方にとって、新たにその後の藤田家を撮ってみよう、出演しようとの機運が高まる。そこで、今回は、フェイクドキュメンタリーというコンセプトで撮影する運びとなった。フェイクだから、本当で無くとも言い訳が立つ。松村も藤田家の大黒柱、二男の充も各々、内々の計画を練っている。アットホームなバラエティー番組仕立てで出発したはずの番組だったが、そこは、フェイクドキュメンタリーという逃げがうってある。つまり、何をやっても許される、という次第だ。充は、このコンセプトを利用して、初回の撮影で受けた傷への意趣返しを狙ったのである。各々が、自分の言いたいことを言う。が、充のコンセプトだ。このコンセプトに沿って、家族一人一人が全員、自分の言いたいことを述べる。結果、本音から見えて来たことは、この国に住む我々観客にも無縁で無いどころか、抱え込んでいる問題そのものを提起してくる。
     而も、この撮影時に充を訪ねて刑事がやってくる。参考人として事情を訊きたい、と任意出頭を求めてきたのである。容疑は偽装倒産と背任横領であった。充は、刑事に従うが、容疑の件については、黙秘していた。彼は、完全に白だったにも拘わらず。その理由とは、こうだ。充は、藤田家の在り様が嫌で、独立した。いわば独立して、会社を持つことは、彼にとって新たな家族を作ることであった。自分が白であることは、彼自身よく分かっていたのだが、新しくできた家族でもある。それを悪しざまに言ったり、告発することを潔しとしなかったのである。

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    2013/04/23 02:55

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