平田オリザ・演劇展vol.3 公演情報 青年団「平田オリザ・演劇展vol.3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    銀河鉄道の夜
    自分は悪くないと思った。

    以前、神戸の高架下のライブハウスで鹿殺しが銀河鉄道の夜の舞台をやっていたのを見たときとはちょうど真逆の感覚かな?(笑

    オール女性キャストということを念頭に置きながら舞台をみていくと、
    ひとつひとつ完璧に表情の流れが組みあがりながらも、
    きっちりと抑えた中に納まった美しさが際立ってくるようにも思う。

    足穂チックな危うさの残る真っ直ぐな少年の美しさが読み取れると思う。

    やはりある年齢をこえると、
    女性の方が少年に対する観察眼が鋭いためか、
    男優よりも女優の方がさまざまな少年を描写するには適しているようだ。

    それを上回るとすれば、
    少年の心をいまだ持ち続けている
    高円寺あたりのモヒカンや金髪のパンク氏あたりくらいか・・?
    まぁそれは趣向が180°変わるからさておき。

    オール女性キャストということで、
    主題が幸せや優しさや愛ではないかと想像できた。

    自分は想像する。

    お金持ちのカンパネルラは貧乏で父親が音信不通で母親が病気のジョバンニより幸せだったのか?

    ネタバレBOX

    病気の母親は、お金は無いかもしれないけれど、
    ジョバン二が持ち帰る食べかけのビスケットを渡されたときの幸せはお金では買えないものだと思う。

    カンパネルラはお金持ちだけれど、
    貧乏なジョバンニのように母親を喜ばせることができない。

    自分が誰かの役に立てば、お母さんは喜んでくれるだろうか?と言って友達を助けるために川に飛び込んで死んだ彼のことを、父親はただ寂しく悲しく見送るばかり。

    子供のために鉄道模型を買ってあげることはできたけれど、
    優しい彼に、ジョバンニのように母親を喜ばせる手段を与えることは出来なかったことを悔やんでいたのではないんだろうか?

    子供に何を与えるのが幸せなのか?

    お金より言葉を、生きている実感を、喜びを人にあげる幸せを。

    天の川の星々は、ただお母さんを喜ばせたくて
    河に飛び込んで死んでしまったカンパネルラのような、
    哀しくて美しい魂でできているんだ。

    ・・そういえば、お袋がいつもきれいな緑に囲まれたらいいと
    特に父親が死んでからは家の木をヒマを見てはよく切ったりしているんだけど、
    たいしてうまく切れたわけでもないのに(苦笑
    そのたびにお袋がちょっとだけ元気になったりしてる気がするのは
    そういうことなのかも知らん(聞いたことないからよく分からんが(笑

    この銀河鉄道の夜は、
    一見子供向けかもしれないが
    内容は完全に子供の心を忘れてしまった大人のためにある。

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    2013/04/23 02:19

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