満足度★★★
「銀河鉄道の夜」
平田オリザ演劇展2本目は「銀河鉄道の夜」。
舞台正面いっぱいに映し出された銀河系宇宙の映像が美しい。
宮沢賢治の作品の中でも本当にたくさんの劇団が上演する「銀河」だが
ちょっとコンパクトにし過ぎたような物足りなさを感じた。
ジョバンニとカンパネルラは、駅に停車する度に
様々な乗客たちと乗り合わせ、その出会いから少なからぬ影響を受けていく。
銀河鉄道の旅は、“本当の幸い”を探すと同時に
“死を受け入れるプロセス”でもある。
多くの「銀河鉄道」の舞台が存在する状況にあって
“エピソードの選択”はひとつのポイントになると思う。
どのエピソードを入れ、どれを割愛するか。
この作品は最初から子供向けに書かれ、
今回は被災地でも上演されたというから
死に対してよりリアルな感情を持って迎えられたことだろう。
そういう中で“子どもにどこまで死を語るか”ということは
重要なテーマであり、簡単に答えが出るものではないが
作品としてもうちょっと列車の場面のボリュームが欲しい気がする。
そこがあっさりしていると、カンパネルラの死を聞かされた時があまりに寂しい。
別れの時間が短いのは、大人も子どももしのびないと思うのだ。