わが友ヒットラー 公演情報 シアターオルト Theatre Ort「わが友ヒットラー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    不思議な感覚
    不思議な感覚を覚える舞台だった。

    ネタバレBOX

    1943年6月に起こった血の粛清事件をモデルに三島由紀夫が書きあげた戯曲。
    この事件により、邪魔になっていた党内右派の軍人:エルンスト・レーム(SA〈突撃隊〉幕僚長)と党内左派のインテリ:グレゴール・シュトラッサーらが殺された。レームはヒットラーの旧友でもある。
     事件の直前に、2人は首相官邸に呼ばれ、それぞれにヒットラーと対話をする。その翌日、殺されるとは露ほども思っていないレームと、既に殺されることを予感したシュトラッサーとのやり取りがある。そこに大資本家グスタフ・クルップがキ―マンとなって絡む、、、、

    というような話。

    歴史的事実を元に(と言っても、2人が実際に同時に官邸に呼ばれ、対話をしたのかなどは、調べてないので私にはわからないが)、友情の問題を中心にしつつも、三島の問題意識で、右派と左派との対話(軍人とインテリとの対話でもある)劇に仕上げられている。

    三島の脚本なので、対話と言っても、モノローグ的なものが多く、その言葉も、極めて耽美な文学的言語なので、、、その世界観は好き嫌いが分かれるかもしれない。

    私としては、三島の世界観の是非というよりも、
    歴史的事象を扱い、極めて生生しい話なのにもかかわらず、極めて文学的な虚構空間に舞台がなることの異質感がずっと続いた。
    異質感と言っても、否定でも、肯定でもなく、文字通り異質感。
    それが良いのか悪いのか、、、いまでも良くわからない。
    不思議な舞台を観たという感覚。

    演出もまさにそういう感じで、とても熱い人間らしさが伝わる演技なのにもかかわらず、発している言葉がとても流麗な文学的なものだったりと、、、

    本当に不思議な舞台だった。

    だが、これも不思議なのだが、三島作品を観たという印象でもない。この点も不思議さを助長させている。



    追記:その異質感て、よく考えたら、盾の会の三島と文学者の三島との分裂に近いのかも、、、、 右派と左派との対話にするところは、明らかに三島の思想的問題を背景にしていますよね。

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    2013/03/29 00:04

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