満足度★★★★
まだ、やる方も観る方も手探り
日本人が大好きなゴーリキーの「どん底」を豪華メンバーでやってみようというこの企画。演出はケラ。さて、どんな感じになるのかな、と楽しみにしていたわけだけれど、なかなかに面白かった。ただ、価格(9000円)相応かというと正直微妙。僕自身は前から3列目という特等席で観てきたので、特に不満はなかったのだけれど、シアターコクーンの後ろのほうでこの価格だとちょっと、という気持ちになりそう。このあたりがシアターコクーンの難しいところ。
芝居は全体の流れは原作そのままに、乾いた、ちょっとした笑いをいろいろと盛り込んだ前半。そしてややシリアスに、というか、どん底の雰囲気を比較的そのままに再現した後半、という感じ。
役者さんたちは上手な人たちがそろっているので、安心して観ていられる。逆に言えば柱になる人がいなくて、群像劇そのままになっているのだけれど、これは当たり前といえば当たり前。主役のはずの段田さんが出てくるまでに凄い時間がかかった(笑)。
公演が始まってすぐということもあって、まだ観客も「ここは笑うところなのかなぁ」と考えているところがあるみたい。おかげでまだ舞台と観客との一体感がなくて、双方に戸惑いがあるような印象。4月半ばくらいになるとまた違った状況になってくるかもしれない。