錆花 公演情報 TOCA*「錆花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    生きること
    はっきり言ってこのフライヤーが目に留まって『観てみよう』と決めた。
    裸の男女ではない。
    赤いシーツだ。またはカバーか?

    いずれにしても赤いシーツも赤いカバーもあまり見かけない。
    見かけないからこそ、『なぜ赤を?』と思うのだ。

    それは青でも緑でも黒でもなく血の赤なのだ。


    赤いシーツとタイトルの『錆花』、これだけで脚本家が芝居の中で何を表現したいのかが、ちょっとだけ想像がつくのである。

    そして、オンナを抱いてる手だ。
    愛しく大切なものに触れている。というふうに優しく扱っている手の表現に魅かれたのだ。


    再演もありうるのでネタバレBOXへ>(2008/6/17)


    ネタバレBOX

    いつものように小屋に入ると、フライヤーとその他の説明をチェックする。

    挨拶文の裏に『レストラン岬』という短編が載っているが、これを読んでドキッ!とする。

    文章の表現力はその情景をカラーで映し出す。
    音や匂いや動きや温度までもが伝わってくる文だ。
    煙草の煙が一本の筋になって上に向かっていくさままでもが、想像できる文だ。

    そして、作者の感情は最後の一行に集約されるのだ。。





    開演して直ぐに男女の抱擁シーン、つまり、フライヤーどおりのシーンが展開される。
    それは薄い透黒のカーテン越しだから、むしろバーン!と裸を見せられるよりは、やけに脳裏に焼きつく。


    芝居の内容は至ってシンプルだ。
    田舎町の小さなホテル『新世界』のロビーの裏手、娯楽室『メキシコ』での15時間の出来事を綴った作品。


    尾道季真子は元恋人が死んだ今でも、その恋人が忘れられない。
    尾道家の三男・忠男と結婚するが、二人の間はギクシャクしている。
    そこに尾道家の次男・国男と季真子が関係を持つ。


    娯楽室メキシコに出入りする登場人物の様子やセリフ、地域のアナウンスなどが、田舎独特の日常を映し出し、簡単にその町の情景や人間関係などが想像できる。


    季真子は二人の男に抱かれながらかつての恋人のあたたかい温もりを欲っし、忠男は死んだ兄が忘れられなくて言いようのない怒りでいらつく。
    国男も兄の思い出を季真子で埋めようとする。

    残された三人がどうやってもがいて生きていくか・・。

    ニンゲンの心の奥底に潜んだ鬱ややりきれなさ、黒く濁った塊をどうやって溶かしていくか。に焦点を当てた作品だったと思う。


    非常に丁寧に描かれた作品でした。
    ゆで卵やパンをかじるシーン。
    カッパ巻きを食べる情景や投げつけるシーン。
    コーヒーを出しながらの客との会話。
    季真子を殴るシーン。
    どれをとっても卒がない。
    全く手を抜く事のない芝居でした。

    表現したかった内容はけっして明るく楽しい内容ではないが、最終的に季真子と忠男がお風呂に入りに行くシーンで、残された三人の未来が見えるのである。


    ホームページを覗くと3人のユニットらしいが、非常に興味のあるユニットです。


    人間とは何か、生きるとはなにか。という哲学的テーマを追い続け表現していくのだろうか・・。




    次回も観たいユニットです。

    芝居ってすんごいね☆
    やっぱ、色んな劇団を観てみないと井の中の蛙になってしまうね。
    これからも出来る限り多くの劇団を観てみよう!


    ・・・って気にさせてくれる『TOCA』でした。


    【最後に】芝居中に煙草を吸うシーンがあったが、本当に必要なんだろうか?
    日本の芝居って安易に煙草を吸いすぎる。一度海外遠征してみると解ります。


    2

    2008/04/08 23:28

    0

    0

  • おーじ>作品の設定や登場人物など、ストーリーは単純でわかり易いの。
    だけれど、一つ一つの描写が丁寧で雑ではないのよ。

    芝居を観てると、『ああ、あるある!』みたいな感覚に陥って、演じ方は自然なんだけれど、狂気に満ちてる。。

    最初からワクワクドキドキの舞台じゃあないのよ。
    なんですか、最初は抱擁シーンがあってドキリとさせられた後、ぬるい日常の展開がやってくる。

    つまんないなーー。と思い始めた頃、舞台は動くの。

    で、作者の言わんとしてる事や、ニンゲンの繊細な襞の部分にズシン!とはいってくるのよ。

    次回、お勧めです。病み付きになる舞台です。

    ポツドールが「病んだ動の世界」なら、こちらは「病んだ静の世界」です。


    2008/04/09 00:31

    自分も、みささまの「観たい!」でこのフライヤーに気づいて、少々気になっておりました。
    ってか、まあ、この図柄ですと、やはり大抵の方は気になるでしょうね・・。

    で、作品自体も良かったみたいですね・・。


    丁寧な作品というのはいいですね・・。
    レビューを読んで、次は覗いてみたいな、てことを思いました。


    2008/04/09 00:09

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