満足度★★★
彼我の差
1929年の世界大恐慌直前迄のアメリカは狂騒の時代と言われ、バブリーな時期であった。この物語の舞台はバブル終焉期1928年の夏、ニューヨークミッドタウンの安ホテル、フロントで展開する。原作はユージン・オニール。演出が、アメリカ人というちょっと珍しい趣向の作品なのだが、演出、役者共に舞台よりは、映画で活躍しているようだ。基本的に舞台役者と質が違う。
更に、アメリカの文明・文化と日本のそれとは矢張り大きな差がある。演出家はハワイ大学で大学院まで出、アジア演劇を専攻したと説明書きに書いてあるが、彼我の差を、全然、身体化できていない。一段落目、二段落目、二つの原因が大きいだろうが、表面的でインパクトの浅い作品になってしまった。
演出家の責任が大だが、演出家、役者それぞれが、もっと舞台の勉強をし、文化の基底を為すものを研究すべきである。