満足度★★★
更に深みを
パセリス作品の暫く前までの特徴は、社会に対して取った距離感をそのまま保ちながら距離感を持つに至った原因に対して直接反射角を設けるのではなく、わざとずらしたり、屈折させるという方法を用いて描かれていたように思う。その微妙なずれや屈折が頗る新鮮だったのだが、今回、“働く”をテーマに作られ、オムニバス形式で上演された三作品は、より直裁、世の中へのサービス精神に満ちた作品になっている。
今後は、洋の東西を問わず古典や歴史も学びながら深みを増すと共に、自ら、真面目に向き合う自分を茶化すような方向性を併せ持つ広いと同時に深い、更に現代と歴史に棹差す劇団に育ってほしい。