弔いの鐘は祝祭(カーニバル)の如く 公演情報 天幕旅団「弔いの鐘は祝祭(カーニバル)の如く」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    お見事!
    流れるように舞台上を役者が動き話が展開していく、独特の幻想的で不思議な感覚の舞台でした。上着を次々と脱ぎ着し、年月の経過や心情を表現していたのは、見事でした。

    ネタバレBOX

    脚本は、マーレイの死を巡り、スクルージの人生を行ったりきたりしながら展開しており、混乱しがちな内容を上手く整理して見せていたと思います。幽霊がクラチットの子というのも意外性があり、良かったです。

    ただ、マーレイの死後、スクルージはマーレイが乗り移ったかのように生きているので、墓をスクルージ自身の名にしたのはやりすぎな感じがしました。普段もマーレイの名で生きているならともかく、スクルージの名を使っており、狭い街では疑問に思う人が出てきそうです。最後、この点が気になって、泣けませんでした。周囲には泣いている人が多かったので、大きな問題ではないと思います。

    孤児や生活状況など、当時の様子からも、無理な設定ではないと思います。マーレイのお墓がないのが少し可哀想に思いました。また、序盤に描写や説明の台詞が集中した部分がありましたが、もう少しバラけてくれた方が好みです。

    演出では、最小限の小道具で無理なく展開していた点が素晴らしかったです。役者さんが沢山の役をこなす傍ら、棒と衣装で全てを表現していたのは見事でした。照明も良かったです。色や模様が入った照明で、主人公の心情や街の様子がイメージ出来ました。音響も、控えめに舞台を支えていて、好印象でした。

    内容は場面転換が多く、時間経過も複雑なのに、印象的な動きを繰り返すことで観客を上手く誘導し、展開を分かりやすくしていました。役者さんの動きはスムーズで演出の緻密な計算が感じられ、素晴らしかったです。コインの使い方も象徴的でした。

    役者さんは5人でしたが、多くの役を掛け持ちし、衣装も同じなのに違和感なく変わる様子が見事でした。また、衣装の脱着など、複雑な動きを無駄なく行っており、コンビネーションの良さを感じました。長袖の上に長袖を着るので、袖を巻き込まないかハラハラしましたが、支障なくスムーズに着る様子に感心しました。どの役も素晴らしい演技でしたが、やはり主演のスクルージは圧巻でした。冒頭の冷徹な感情のない演技から、終盤の情熱的な演技まで、幅の広い演技を見せてくれました。

    時期に合った内容で、終演後のスタッフの挨拶も良かったです。

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    2012/12/25 10:55

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