カゼマチ 公演情報 ゲンパビ「カゼマチ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    良い作品でした
    現実でも起きている事件を彷彿とさせる内容で、信憑性のある脚本だと思いました。宗教団体が放射能を撒き、汚染された地域で人々が障害を負う設定など、アイデアが素晴らしいです。

    ネタバレBOX

    フキタという苗字は発音が難しいので、主役はもう少し言いやすい苗字の方が役者に優しい気がします。医師が土を食べる設定は、インパクトの割に、よくわかりませんでした。

    教師や警官が、市長の息子というだけで変人と付き合うのは妙な気もしますが、田舎ではそういうものかも知れません。最寄りのコンビニまで歩いて20分や移住者に補助金支給など、真実味のある設定でした。

    ただ、監禁事件の際に警官が逃げたのに、教師は包丁まで持ち出していたのは違和感がありました。市長の長男に無理強いされる場面があれば、説得力が増したように思います。または、教師設定はいらないかも知れません。市長の次男は、必要性が乏しいように思いました。

    演出では、山浦が「202号室か」と呟いて暗転するところが好きです。鉄道模型やシャボン玉も、象徴的でした。最後に明日香がシャボン玉を吹き尽くして怒るのは、中盤の繰り返しでしたが、明日香は成長したはずだし、意味がよくわかりませんでした。シャボン玉のシーン自体は、シャボン玉が照明に反射して、幻想的でとても綺麗でした。カバンや服に付いたら嫌だなと思いましたが、役者さんが上手く配慮してくれて、助かりました。あと、吹田家のシーンで、兄が靴のまま裸足の妹と会話するのは、違和感がありました。

    吹田兄妹の演技は、とても良かったです。明日香の障害の演技も見事でしたし、清明は周囲を圧倒する演技力で、難しい役所を演じきりました。薫や朝戸亮は、異常性や緊迫感のある演技でクライマックスを盛り上げました。青田と森崎は、しがらみで亮に付き合う様子がよく出ていました。青田の面倒見が良い様子は、最後に明日香の世話役を引き受けた流れに上手く繋がっていたと思います。

    山浦は、罪を悔いている様子が良く伝わりました。凶行に走る人は、案外、普通かもと思わせる演技でした。一村は、役柄のためか演技が固く、変に浮いて見えました。もう少し周りと調和した演技の方が良いように思います。清明や薫は、ペースを乱されずに演じており、流石でした。沙織は数少ない普通の人でしたが、山浦の普通さや象徴的なBGMを引き出す役割を上手く果たしていました。
    森崎、青田の衣装はカジュアルすぎて違和感がありましたので、一工夫欲しかったです。

    全体的に見て、脚本の良さとメインの役者の演技力が光る作品でした。また、劇場の雰囲気も本作に合っていたと思います。良い作品を見せて頂き、ありがとうございました。

    0

    2012/12/09 12:06

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大