満足度★★★
生態観察
1つの部屋に一緒に暮らす荒んだ若者達の酷い生活のある1日を台詞無しで描いた作品で、過激な性表現が多いながらもユーモラスな場面も多く、想像していた程には殺伐としていなくて、意外と楽しんで観ることが出来ました。
ゴミや衣服が散乱する中でテレビを見たりゲームをし、食べ、セックスをし、寝るだけの生活が大きな出来事も起こらずに描かれていましたが、次第にこの人物達もこのような人生を望んでいたわけではないように感じられて来て、少し共感しました。
だらしない姿勢や緩慢な動きといったリアリズムではないデフォルメされた演技と、ダイジェスト的に進行する時間の流れから、生々しさが中和されていて、描かれる対象との客観的な距離感を保っているように見えました。
冒頭からタイトル映像が流れるまでは、舞台と客席の間にベランダと窓があり、外から人間ではない動物の生態を覗き見るかのようでした。最後にまた同じ設えとなり、舞台上を暗くすることによって、観客達の姿が窓に反射して見える演出が居心地の悪さを感じさせて印象的でした。