満足度★★★★★
サバンナ編初日
男性中心のサバンナ編と女性中心のオアシス編がある。Wキャストを考慮すると4パターンになる。全36公演の長丁場だ。今のところ、今週金曜の昼は、ゆったり観ることができるとの話だ。
一応、コメディと銘打ってはいるが、内容的にもしっかりしており、シリアスでやっても充分通用する。無論、外人部隊には、様々な経歴を持つ者達がいる。観たいコーナーでも書いたが、自分も外人部隊の現役メンバーと話す機会があったし、自分自身が応募しようかと考えていた時期もある。色々なタイプの人間が集まれば、悲喜交々なことが起きるのは当然だ。まして場所は戦場である。良いことも悪いことも総てが桁違いなレベルで起きる。紛争地を歩いた経験を持つ者なら誰しもが、初めて経験する異様な迄の緊張感・緊迫感や、銃撃される恐怖、地雷や空襲、砲弾、戦車の地響きなどに生きた心地も無かった経験を持っているだろう。生き抜けば、攻撃してくる兵器の種類や距離なども音でほぼ分かるようにはなるものの、良い気持ちのわけが無い。公演では、こう言った背景の緊張感を出すことに成功していた。きちんと取材をし、取材した戦地体験を内在化することに成功しているのである。戦争を知らないはずの世代が、ここまで緊迫した舞台を創ったことを素直に褒めたい。
また、実戦を経験していないからこそ持ちえた正義感や念が、実際の戦争に対する異議申し立てとして機能し作品を演劇たらしめた。ドラマツルギーがきちんと成立しているだけでなく、現代日本の若者の優しさを顕して貴重である。怖い経験をしたことが無い方にも女性にも緊迫感のある舞台として楽しめよう。
2012/11/23 23:21
長谷川 明(ハンダラ)拝