ジャン・ミシェル・ブリュイエール / LFKs [フランス]『たった一人の中庭』 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「ジャン・ミシェル・ブリュイエール / LFKs [フランス]『たった一人の中庭』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    CHOOSE A CAMP
    元中学校であった、にしすがも創造舎の地下1階、3階、体育館、校庭を用いた、観客が歩いて見て回るタイプの作品で、移民キャンプをモチーフにした不気味かつユーモラスな表現が、自身がその場に傍観者として存在している居心地の悪さを感じさせました。

    一番最初に入る部屋では白い短冊状の紙で覆われた「モンスター」達が踊っていて、その隣の部屋では彼等がアメリカのドラマの登場人物を演じる映像が流れていて、シュールな雰囲気がありました。
    以降の部屋も、水蒸気が立ち込める中で茹で卵が作られていたり、電話のベルと蛇口からの水流が自動的に作動していたり、白衣を来たスタッフ達が政治的メッセージを訴えるバナーを作っていたりと、世の中から隠されている物を覗き見るような感覚がありました。

    体育館には大きなテントが設置されていて、入口には「CHOOSE A CAMP(=陣営を選べ)」と書いてあり、中では年老いた黒人が身体検査のようなことをされていて、自分を含めた観客が動物を見るようにそれを見ていたのがおぞましかったです。
    体育館内のテントの外側には白い緩衝材が敷き詰められ、その中で自動的に血液(?)で絵を描く装置や、頭部が上下する十数台の医療ベッド、オイルタンクとトランクを組み合わせたノイズ発生装置など、人のいない光景が広がっていました。
    体育館の窓から外を見ると、目の前が墓地で、その遥か向こうにスカイツリーが輝いていて、何とも言えない気持になりました。

    日本では移民キャンプは全く別世界のことに感じられ、作品が伝えたいメッセージを半分も受け止められなかったと思いますが、それでも色々と考えさせられる刺激的な体験でした。

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    2012/11/05 09:34

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