るつぼ 公演情報 新国立劇場「るつぼ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    初日、非常に良い!!
    アメリカがまだ植民地時代の魔女裁判の話ですが、つい最近起こった日本の出来事のようで、正に今日的でした。休憩を入れての3時間45分は緊張感が途切れることがありませんでした。

    ネタバレBOX

    大の大人がガキに騙される愚かさ、騙されたことに気づいても今度は正すことができない愚かさ、人間社会は時として愚かで、人間の思考や行動様式が全く進歩していないことには虚しさを覚えます。

    既に10人が処刑されていることがあって、法の平等という名の下に今更変更できないとするダンフォース判事の対応は、自分に責任が及ぶことのないようにしながら、かと言って良心の呵責もあって、悪魔と取引をしたことを告白すれば死罪は免れる、どうか告白して下さいと取り繕うものでした。

    自分の非を認めないのは日本の検察や役人の現状と同じです。告白すれば死罪は免れるは、認めれば少年院送りは免れるという遠隔操作メール事件の取り調べと同じです。

    狂気が蔓延しているときには、転んでいい、嘘をついてもいい、生きていることが大事というヘイル牧師の言葉は人間の生き方に安寧を与える言葉でした。

    プロクターは家族の生活を支えるために生きたいという気持ちが強く署名までしたのに、結局は告白文を破棄して処刑されました。彼の行動は、真っ正直な生き方を選択したというよりも恥をかくことを避けたという印象でした。

    例えばですが、武士道の芝居を海外でやるときには恐らく武士道の精神について日本では分かり切っていることについても丁寧に触れると思います。同じように、署名のある告白文を教会の壁に貼るということが彼らの社会ではどのような重要な意味を持つことなのかの説明があれば良かったのにと思いました。

    プロクターの行動故にこうして愚かな事件が告発された訳ですが、良心の呵責に苛まれていたのか、開き直っていたのか、ダンフォース判事のその後が気になりました。

    プロクターの妻の静かで信念のあるたたずまい、ダンフォース判事の低音の響きが素敵でした。

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    2012/10/30 13:29

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