琉歌・アンティゴネー 公演情報 ピープルシアター「琉歌・アンティゴネー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ニライカナイ
     物語ではニライは姉、カナイは妹である。無論、沖縄のユートピアであるニライカナイに掛けてある。一方、アンティゴネ-は、ソフォクレスの悲劇、「アンティゴネ-」のことである。つまりオイディプスの娘、クレオンの姪である。今更、芝居好きの前で言う事ではあるまいが、最近では古典を読まないヒトが多いので勘弁して頂く。「オイディプス」も「アンティゴネ-」もギリシア悲劇の傑作中の傑作であるが、この悲劇の因縁を巧みに取り込みながら、蹂躙され続けて来、今また更なる蹂躙に晒される沖縄本島の政治、生活、日常を、分断が、当たり前に行われ、アンチノミーやアンビヴァレンツに苛まれる人々の日々の愛や争闘に描き出して見せた。
     武器を持ち、地位協定に守られた、犯罪者上がりの多い米海兵隊、差別剥き出しの米軍、米国人に媚を売ることしか知らぬ大和政治屋と官僚。植民地軍の扱いに抗議することもせぬ腑抜け自衛軍らによって二重、三重、四重に虐げられた人々の魂の傷。血を流し続ける彼らの魂の真上を今朝も、明朝も米軍ジェット戦闘機、攻撃型ヘリコプター、オスプレイなどがお構いなしに飛んでゆく。日本国土の僅か0.6%の空間に日本全国の基地の75%が存在する、海も山も空も、米軍基地に占領された「監獄」、沖縄。蹂躙され続けた魂の誇りは、血を流し続ける魂は、ニライカナイに辿りつくことができるのか? を鋭く問う秀作である。

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    2012/10/16 06:07

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