満足度★★★
志
劇を通して訴えたいことがはっきりしていない。その結果、主張が空回りしてしまって、折角のストーリーが、単なる因果応報の話に堕してしまった。ひとつ、箍の繋ぎ方を変えると、見違えるような作品になったはずだが。
劇作家は、自分の位置を正確に見極めるべきである。世間での己の位置、演劇が、この時代、この地域でどのような位置づけなのか、といった世塵にまみえる覚悟が必要である。そうすればインプロビゼーションの扱いも、まるで違ったものになったはずであり、今回のような小手先の器用を売るレベルに堕したりはしなかったであろう。観客は、しっかり見ている。そのことの怖さを手掛かりに、先ずは、自分達の生きている状況の分析をしっかりやりなおして欲しい。そうすれば、人間相互の関係を見るきっかけが生まれよう。先ずは虚心坦懐にそこから見直して欲しいのだ。