満足度★★★★
出口なし
乱暴に思われるかもしれないが、宿命を負ったと設定することで、兄弟はその宿命を生きるほかなくなるのだ。無論、そこから簡単に抜けられない点で、これは単なる宿命というより運命とでもいうべきレベルにアップしている。このことこそが、悲劇を構成している。更に、この脱出不可能性を描く屈折が良い。演出にも光る所が見え、照明、音響なども効果的に使われている。
実際、出口なしの状況に置かれた愛は、他にどのような結末を迎え得よう? この作品の妙味は、このような状況下では、愛の唯一の脱出口が、このような結末を迎えざるを得ないことの必然を析出して見せた点にある。
今回、拝見したのはBだが、Aとは結末も異なると言う。自分の予想するような結末をAで採用するか否か、こちらも興味深い所ではある。