満足度★★★★
視座
登場人物、男1人、女1人。この男女の関係に意味を見出そうとすると、不分明になる。意味に拘泥するならば、ピストルの強制する世界と考えるのが、最も近いかも知れないが、それだけに終わらない要素も孕んでおり、ピストルを男性性器と捉える事も可能ではあろう。然し、それでも釈然としない。
自分は、むしろ想像力の生まれる場所で、役者は身体を用いて互いをインスパイアし、観客がその様子を見て、イマジネーションを広げる共同作業へのエチュードと見た。役者は、当然、観客からのレスポンスに反応して新たなイマジネーションのヒントを身体化する。この行為はループ構造を為していて、少しずつ内容に変化が起こる。その過程をこそ、見るべき作品だったのではないか。肝心なことは、このような視座・視点を持つことによって、意味という監獄から自由になることである。観た者にこのような発想をさせてくれた役者陣、演出家に感謝したい。
2012/09/12 13:33
>観客がその様子を見て、イマジネーションを広げる共同作業へのエチュードと見た。
正にその通りだと、ワタクシは思っております。
なかなかそのエチュートがうめく行きませんが。
貴重なご感想ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。