タニンノカオ~人命救助法2012 公演情報 シンクロナイズ・プロデュース「タニンノカオ~人命救助法2012」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    二作品上演
     今回は、安部公房のタイプの異なる2作の上演である。「タニンノカオ」は原作での表記は「他人の顔」であるが、メジャーな作品なので誰でも読んでいよう。然し、「人命救助法」は比較的初期の作品でもあり、公房ファンででもなければ知らない方も多いのではあるまいか。1本目が、後者であった。あらすじは、ネタバレで。

    ネタバレBOX

     名誉欲に駆られた教頭が生徒の父親と水難救助を計画するが、これは、やらせである。而も、生徒の父は、自らの利害を大きくする為に、この計画を取引先や発注元にも持ってゆく。名誉と富に踊らされた人間達を巡るコメディーだが、やらせそのものは、日本国中で今も散々行われているのを見る時、この国の好い加減が見えてくる。

     「他人の顔」を”タニンノカオ”と表記することには、無論、構成・演出を担当した久次米 健太郎の狙いが込められていよう。自分の印象では、原作よりも更に距離感を取らざるを得なくなった現代の我々の視点を組み込んでいるように思われる。そのことで、よりシャープに、現在我々が置かれているナーバスな状態を反映させたのであろう。更に、白痴の少女ばかりではなく、妻にも偽装の正体を見抜かれていた男は、その事実に気付くことすらなかった。妻に去ってゆかれる主人公の哀しさは、痛切な痛みすら曖昧な孤独を映して惨めそのものだ。

     両作品を通して、現代日本を2つの角度から照らし出した、この劇団の意気と、その批評性を評価する。
     

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    2012/08/10 03:32

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  • ハンダラ様

    ご来場頂きまして誠にありがとうございました。
    「今」を捉えていただけて、本当に嬉しい限りです!

    今後とも何卒宜しくお願いいたします。

    お返事遅くなりましたが、取り急ぎ御礼まで。

    2012/08/12 08:22

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