ここまでがユートピア×トラックメロウ 公演情報 劇団あおきりみかん×オイスターズ「ここまでがユートピア×トラックメロウ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    『ここまでがユートピア』劇団あおきりみかん
    たぶん戯曲として読むとかなり面白いのだろうなぁと思った。

    もう少しスマートな演出だったら印象はずいぶん違ったと思う。
    テーマはとても面白いのだから。

    ネタバレBOX

    経済が停滞している中、若者の自立に役立てるために、政府は、若者を対象に、個人国家「ユートピア」を作らせる。
    「ユートピア」では、それぞれが自分のルールを作り、他人と接触しないことになっている。
    実験段階のユートピア計画に選ばれた2人がやって来るところから物語は始まる。

    ユートピアという発想、それから始まる個人と他人との関係、それらのテーマはとても面白かった。
    ある企てを持ってここに訪れた者の登場によって、各ユートピアにちょっとした波紋を投げかける、なんていう展開も面白い。

    1人になることで、嫌でも自分のことを考える、さらにそれは他人とのことも考えることである、というあたりも面白い。

    しかし、なんか、物語の進め方(演出)がイマイチ、スマートではない。
    それは例えば、場面展開時に役者たちが、舞台の周囲にある箱を動かして、机や椅子、ベッド、あるいは断崖絶壁などに模したセットを作るのだが、見た目にも音的にもドタバタしてしまう。それにはユーモアも感じるのだが、場面展開が多いし、大がかりなので、舞台全体のイメージを圧迫していたように感じてしまったのだ。
    例えば、戯曲にもしこれが書いてあったのなら1行だろうし、演出なので書いてない可能性のほうが高い。
    したがって、そこがどうも「ロス(特に時間の)」のように見えてしまった。

    あおきりみかんは、こういう何でもない箱などを動かして、例えば積み上げたりする演出があるのだが、今回は物語を見せるために、もう少し最小限にしたほうが効果的だったのではないかと思うのだ。

    また、ストーリー的には、オープニングの会話は、これから何が起きるのか? とわくわくさせるのだが、その後の展開がどうもイマイチ。それは、この場所のことや企画の主旨説明が、文字どおり説明なので、少々退屈なのだ。続く各ユートピアのルールを何人か聞くのだが、それもわざわざ10個全部聞く必要があったのだろうか。それらが大きく伏線になっているほどのことでもないのだし。

    場所の細かい説明も、それぞれのルールも物語が進みつつ盛り込むのでいいのではないかと思ったのだ。

    さらに、各国家のルールは、各個人の生き様や考え方もストレートに反映しているようなのだが、そこに中途半端にフォーカスされてしまっているのには少々疑問を感じる。
    すべてがそれぞれに結びつき、全部が明らかになることを望んでいるわけではないのだが、どうも「ルール」に重きを置いているわりには、ルールと、その個人との関係がもの足りない感じがしてしまう。

    また、三宅の回りに元カノらしき幻影がまとわりつくのだが、それが延々と続き、しつこい。そこまでする必要はあったのだろうか。同じことの繰り返しすぎて、それがラストに一気に爆発するわけでもないので、繰り返しを溜めていく必要を感じず、長いなーと思ってしまった。

    と書いてきたが、それも、少し進んでから物語が動き出すあたりから、俄然面白くなってくるのだが。
    あと、もう少し、ざっくりでいいからラストは、全体を終わらせてほしかった。

    「トピアトピアトピア・・・」の国家を合併する合戦は面白かった。「カバディカバティカバティ」だね。

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    2012/08/04 04:28

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